週刊ネコ通信

日記とか備忘録とか。

アレコレ

三森すずこさんの「アレコレ」、いい曲ですよね……

 

この曲を知ったのは、もう2021年頃だったと思いますが、きくらげさんの「Chillin' in Space Vol.1」というmixを聴いてる最中のことでした。60分のmixのちょうど真ん中、30分頃に流れ出して、ともすればダレてしまいがちな時間帯にパンチライン的にこの楽曲が差し込まれ、本当に殴られたような衝撃を受けたものでした。

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mixを聴いて知らない曲に出会い、購入するほどにその曲に惹かれるというのは、DJにとっても聞き手にとっても最高に幸せな状況だと思うのですが、最近はそんな出会いにも中々恵まれず、鬱々としていたところに三森さんのこの楽曲だったのでなんだか祈りが通じたような、切ない気持ちになりました。

(2018年リリースの楽曲だけど、聴いた時点が新譜だから!)

みきとPはボカロの人だよね? という先入観が強かったのですが、肩書きとか関係なく曲が良かったので良かったです。

三森すずこさんの曲はアップテンポな曲が多いのですが、こういう遅めでちょっと自制的な曲の方が自分には染みる気がします。「恋のキモチは5%」もどこかゆるりとしつつ、コントロールされた表現が曲の良さとして昇華されている感じがあってとても思い出深い、好きな曲です。

 

あと、「アレコレ」にはPandaBoY氏によるRemixバージョンがあるのですが、これもよいですよね。メチャクチャかっこいい。こういう限定版は後から入手が難しくなるのでさっさと買いましょう。2021年6月リリースです。

三森すずこ「シュガーレス・キッス」きゃにめ限定盤 | きゃにめ

 

きゃにめ限定版を買ったのがちょうど2021年の今頃だったでしょうか。

そんなこんなで、去年の今頃に思いを馳せていたのでした。

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ボーカルの清浦夏実と元Symbalsの沖井礼二によるユニット「TWEEDES」によるミニアルバムより。おじゃる丸は世代なので2010年代的な渋谷系で再アレンジされてるのは素直に嬉しいのと懐かしさが込み上げてきます。SUS4歌唱による原曲はよりアングラ感があっていいですけどね。CDで買って7月上旬に何度も車内で通勤中に聞いてましたが、この「プリン賛歌」が一番クオリティは高い気がする。。

近況

ここ数日の話……

 

日向敏文、良いです。

 

まあ識者の皆様からすれば何を今更……という感じだと思うんですが、良いと言われてるものであっても自分で正直に良いと思えるためには、聴くタイミングとか心の準備とかあるいは若さとかが結構重要だと思うわけです(少なくとも私の場合は)。1度聴いてしっくり来なくても、半年くらい経って全然違うコンディションの時に聴くとスッと音が染み込んできてそのままお気に入りになっちゃったりとかしますよね。

日向敏文の話に戻しますと、この3rdアルバムは、1stの『サラの犯罪』、2ndの『夏の猫』と並んでニューエイジ色が強いものの、クラシカルな響きと退廃的なシンセサイザーの音色が融合しており、リバーブ処理の具合も相まって非常によろしいです。

特にこの3rdアルバムでは、CM音楽のようなキャッチーさが全編に滲み出ており、意識の深層に刷り込まれるようなさりげないメロディーの存在が耳を捉え、そして多くの方が感じるであろう不変のノスタルジーで胸がいっぱいになります。

何より素晴らしいと思うのが、音の構築自体は伝統的な和声法にきちんと軸足を置いているところ。バークリー出身ということもあるのか、クラシカルな作法を十二分に咀嚼されているという印象を受けます(もちろんいい意味で)。

計算された和声に基づく響きは、やはり聴いていて心地良いんですよね。偶然性だけに任せて理性をないがしろにした音楽が最近どうも多いような気がしているので、こうした良心のような響きを聴くと安心感がすごいです。

 

 

ちなみに日向敏文を聴く数日前には、ようやく自部屋の片付けを敢行し、たまたま救出されたtowa tei『94-14』を通勤途中に聴いたらやっぱり良いじゃん〜〜と妙に感動してしまったりしました(これまた何を今更……と言われそうだけど)。

これも好きなだと思えるものが増えたんだから凄く喜ばしいハナシのはずなんだけど、こうも続けて直面するとなんだかこれまで自分だけずっと損してきたんじゃないか、とネガティブな方向に考えを拗じらせてしまいそう。でもそうではなくて、若くなくなりつつあってもまだ自分の感覚は死んでなかったんだという希望というか安心感にすがれて、少し息を吹き返せそうな気持ちになれました(これもかなり後ろ向きな捉え方ですが)。

釣り糸を落としても魚が釣れないことはある、くらいのスタンスでありたいです。

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このMVいいよね、だいすきです。

 

2021年のこと

2021年は色々転機となった年だったのでまとめて文章に残しておきたいな、と思い始めてから早数ヶ月、なんと既に2022年4月になってしまった。しかしあまり気にせずに書いていく…

 

転機といっても生活環境が大きく変わったとかそういうことではなく、聞く音楽がちょっと変化した、みたいなことである。

 

具体的にいつ頃から、というのはよくわからないのだが、2021年の春頃、矢代秋雄の「古典組曲」を聞いたあたりから嗜好が変容した気がする。

矢代秋雄は寡作なうえに早逝してしまったため一般にはあまり有名ではないと思うが、武満・三善らと並んで日本の現代音楽のレジェンドである。この「古典組曲」は、矢代の初期の作品ということもあり後の時代のものほど難解ではないし、フランス風の色彩感がとてもよい。かつ、勢いで推進していくのではなく、じわじわと風景が変わっていくところがとてもよい、と感じたのを覚えている。1つのモチーフを大事に育てていく、というか。譜面を追いかけていると、ますますそんな気がしてくる。

矢代は文章も面白く、日常の出来事をエッセイとして記したり、自作の解説文も遺したりしており、譜面付きのそれを見ると、やっぱり真摯に真剣に音に向き合っていたのだなあと感心してしまう。

 

そうしているうちに、吉村弘がいいなと思い始めた。以前から聞いてはいたのだが、『Wet Land』にたまたまYouTubeで出会ってからますます好きになった。吉村弘は相当に再評価されていますが、これは再発されてないんですよね…

これは、もちろん環境音楽などの視点から聞かれるべき作品ではあるのだが、自分の中では何故だか先の矢代とどこか地続きな気がしている。同じ日本人作家だから、というような理由ではなく、、、

ほか、『flora』『MUSIC FOR NINE POST CARDS』などもよいですね。

吉村弘は著作も数点出しているので、「都市の音」などを入手して読んでみたが、なにか奇抜なことをして独自のものを生み出していくのではなく、身の回りの事柄を見つめ直してヒントを得ていく、という視点の堅実さに唸ってしまった。そんなに特異な内容が書かれているわけではないんですが、その蓄積の強度がすごいと思わされるわけです。

 

 

 

最近のも少し。

渡邊琢磨「Last Afternoon」。2021年リリース。某所の上半期ベストに挙げられており購入してみましたが、まあこれがよい。アルバムジャケからすると牧歌的内容なのかな…と一瞬思ったが、全然そうではなく、一種の決意感に溢れた音像が続きます。

 

Devendra Banhart, Noah Georgeson『Refuge』。2021年リリース。アンビエント。休みの日の午後に聞いた。

turntokyo.com

 

Picnic『Picnic』。2021年リリース。オーストラリアのdaisartというレーベルからのリリースだがdaisartがどういうレーベルなのか、ネット上ではいまいち情報が見つけられない。

しかしよい。前後左右を考えず、その場その場の響きだけに集中するタイプの音楽だと思う。

 

LI YILEI『之 / OF』。2021年リリース。中国の方です。これはなんとなくTwitterとかでも話題になってた気がします。結構Lo-fiなんですが聞いてて心地よいです。

 

Rainforest Spiritual Enslavement『Flying Fish Ambience』。2021年リリース。ダークドローンですが気色悪さはないです。じめじめしてるけど……

 

Okkyung Lee『Yeo-Neun』。これは2020年リリース。韓国の方です。いわゆるモダンクラシカルなアンサンブルで、残響の消え方に聞き入ってしまう。静かな曲調のわりに、想像を裏切るフレーズが随所に飛び込んで来るので聞いていて飽きない、非常に動的な響き。

 

CV & JAB『Landscape Architecture』。2020年リリース。なんだかよくわからないがよい。

 

r beny『full blossom of the evening』。2016年リリースの1stですがフィジカルが最近出たので買いました。モジュラーシンセ主体で制作していると思われ、無限に引き伸ばされた音像がよい。

rbeny.bandcamp.com

 

4/4追記。

ALABASTER DEPLUME『To Cy & Lee: Instrumentals Vol. 1』。2020年リリース。生楽器主体のモダンなアンサンブルです。独特な残響処理による音色の移り変わりを聴きました。

 

最後に一番聴いたのを。

ann annie『cordillera』。2018年リリース。ann annieはオレゴンあたりの方で、結構若そうな方です。

しかしbandcampで聞くよりYouTubeで観た方が良さが伝わるかと思う。

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この人の動画はどれも全部良いです。これなんかもかなりお気に入り。

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しかも投稿していくほどに洗練されて行っており、直近の動画はもう仙人みたいな域です。ほんとすごい。モジュラーっていいな…と思い始めたきっかけでもあります。

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まあでも、こうしてまとめて振り返ってみると、どれも似通った音楽であり(もちろん良い意味で)、非常に大雑把に「アンビエント」として括れてしまう類だと思う。でも似てる箇所ではなく、違いを聞き取ることに意味があり、それが楽しいと思えた一年だった。

何が違うのか、言語化できない部分で自分の中で整理して、その日の気分で聞く盤を選ぶ、というのはやはり大変な贅沢なのだと再認識した次第です^^

2021年に買ったCDなど(ジャズ編)

2021年5〜9月頃

学生の頃データで聴いていたジャズの音源をCDで欲しいな……と急に思い立ち、何枚か買う。CDで買ってクルマで聴く、というのが今の私の生活には合っています。以下はそのリスト。今更かよと怒られそうなベタなCDばっかりですが……

 

サバイバー (紙ジャケット仕様)

「Nightline New York」と同じセッションの未発表音源で、2005年に発売されるもこの数年中古CDにプレミアが付いており、途方に暮れていたが何故か価格が下がってきたのでめでたく購入。全体的に「Nightline〜」よりも荒々しい感じがする? ような気がする。1曲目を聴くと目が覚めるので通勤時によく聴いた。今年買ってよかったCDベスト3に入る。ついでに「Nightline〜」もCDで購入した。

 

 

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これもいつかは買おうと思ってたのでこの機に購入。内容はまだよくわからないです。

 

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ずっと国内に在庫がほぼなかったが、2020年に突如再発されていたらしく喜んで購入。一家に一枚CDで持っておきたい盤。Softlyは一体今まで何回データで聴いたことか……

 

Natural Selection

こちらのアルバムもついでに購入。表ジャケが彫刻で、裏ジャケをみると「自然淘汰 探求」とあり、「弟武 離撫満」「利知 梅落」「論 巻流亜」「美里井 心臓」とメンバー紹介がされているのでVaporだな……と思った(1994年の作品だが)。内容はふつう。

 

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ずっとCD購入を後回しにしていたが遂に購入。ちょっと凝りすぎててしつこいきらいもあるが、全曲ダイナミックな展開で満腹になれる。特にJohn Taylorのソロは見事。

 

Kenny Wheeler – Double, Double You (CD) - Discogs

これもすんごいメンバーでの録音。83年5月。

 

アイ・ラヴ・ユー~ラスト・ライヴ・アット六本木ピット・イン

某ノート推薦盤。辛島文雄がお父さんみたいな感じで「みんながんばってくれよな」とバンド全体を温かく見つめている。パッションすごいです。

 

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めでたく入手。16分超えの「Fantasy in D」は聴く価値あり。Sevillaはスペイン南部の都市らしいですよ。

 

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これほど今更感あるCDもないかとは思いますが購入。これはアナログでも欲しい。

 

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これはアナログで。HMVで中古が1980円で出ていたのでつい購入。まあこの手のメンバーでの演奏は飽きるほど聴いていますが、安かったしアナログで持っててもいいかなと。CDでも持ってるのでDisc1をたまに朝の通勤時に聴きました。

 

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ゲッツ最後のアルバム。これに収録されている「Night And Day」がすごく好きで、聴くものがないときには結局これを聴いている。正直「Night〜」が好き過ぎて、他の曲をそんなに聴けていない。ちなみに「Complete Edition」という別テイクをまとめたCDを今年(2022年)に入ってから買ったので気が向いたらそちらについても書きます。

 

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アルトの池田篤と、ピアノの細川正彦によるデュオ。一応ジャズなんだとは思いますが、かなりNew Ageに接近しておりインタープレイの濃淡が味わい深い。ジャケットカッコいいですよね。

 

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ラテンなんだけど聴きやすい。フレーズ展開がものすごく勉強になります。「これいいから聞いてみ」って大学1年の時に先輩から薦められて知った覚えがあります。未だにAmazonに商品登録が無いですが、買える人は是非買ってください。

 

ライブ・アット・ピットイン'98

(番外編)トコベニは恥ずかしながら聴いたことがなかったので他数枚と併せて購入。やり過ぎな感じの攻めた演奏だけどこういうのが聴きたくなる時もあるよね……

 

 

というわけで、詳しい方からすれば何の新鮮味(しんせんあじ)もないラインナップとなっておりますが、今この時代に「あえてCDで買う」というのも全く無駄なことではないよな、昔聴いたものに改めて向き合えるしな、と反芻しながらの2021年振り返りでした。

『Prismaticallization』のOP曲「Smile」を比較してみた

1999年にプレイステーションで発売された『Prismaticallization』のOP曲がとても良いので、発売されているCD音源の聴き比べをしてみました。音源は全部で5つあると思われるのですが、内容がほぼ同じものもあるため、実質4つの音源の比較となります。

Smileの作詞作曲編曲は、ボーカルも務めるWater Clockの「Koyo」によるもの。1994年7月に結成されたWater Clockは「Koyo」と「Yoshihiro」の2人ユニットで、哀愁漂う世界観がすごく好きです。

 

 

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「プリズマティカリゼーション ボーカル&BGM集」

APCM-5155, BANDAI MUSIC

1999年12月18日発売

 

【収録曲】

01 Smile (Vocal:Water Clock)

02 AM 7:55

03 帰るトコロ

04 5.2. Pop

05 ドタバタ

06 夜って良いよね

07 悲しさ

08 疑念

09 緊迫

10 散歩

11 木漏れ日の中で

12 人

13 ハートマーク

14 心

15 夢

16 With you (Vocal:Water Clock)

17 AM 7:55 (MIDI Arrange Version)

18 5.2. Pop (MIDI Arrange Version)

19 木漏れ日の中で (MIDI Arrange Version)

20 Smile (Original Karaoke)

21 With You (Original Karaoke)

 

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Prismaticallization

IMT-0201, Image Team

2002年8月発売

 

【収録曲】

01 Smile

02 約束(帰るトコロ)

03 疑念

04 そして時は去りゆく

05 夢

06 Smile #2

07 Seasons

08 With you

09 With you (Reprise)

10 Seasons (Off Vocal)

 

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Prismaticallization Limited extra CD」

非売品

 

【収録曲】

01 Smile (Game version)

02 Smile (Long version)

03 With you (Game version)

04 With you (Long version)