週刊ネコ通信

日記とか備忘録とか。

近況

ここ数日の話……

 

日向敏文、良いです。

 

まあ識者の皆様からすれば何を今更……という感じだと思うんですが、良いと言われてるものであっても自分で正直に良いと思えるためには、聴くタイミングとか心の準備とかあるいは若さとかが結構重要だと思うわけです(少なくとも私の場合は)。1度聴いてしっくり来なくても、半年くらい経って全然違うコンディションの時に聴くとスッと音が染み込んできてそのままお気に入りになっちゃったりとかしますよね。

日向敏文の話に戻しますと、この3rdアルバムは、1stの『サラの犯罪』、2ndの『夏の猫』と並んでニューエイジ色が強いものの、クラシカルな響きと退廃的なシンセサイザーの音色が融合しており、リバーブ処理の具合も相まって非常によろしいです。

特にこの3rdアルバムでは、CM音楽のようなキャッチーさが全編に滲み出ており、意識の深層に刷り込まれるようなさりげないメロディーの存在が耳を捉え、そして多くの方が感じるであろう不変のノスタルジーで胸がいっぱいになります。

何より素晴らしいと思うのが、音の構築自体は伝統的な和声法にきちんと軸足を置いているところ。バークリー出身ということもあるのか、クラシカルな作法を十二分に咀嚼されているという印象を受けます(もちろんいい意味で)。

計算された和声に基づく響きは、やはり聴いていて心地良いんですよね。偶然性だけに任せて理性をないがしろにした音楽が最近どうも多いような気がしているので、こうした良心のような響きを聴くと安心感がすごいです。

 

 

ちなみに日向敏文を聴く数日前には、ようやく自部屋の片付けを敢行し、たまたま救出されたtowa tei『94-14』を通勤途中に聴いたらやっぱり良いじゃん〜〜と妙に感動してしまったりしました(これまた何を今更……と言われそうだけど)。

これも好きなだと思えるものが増えたんだから凄く喜ばしいハナシのはずなんだけど、こうも続けて直面するとなんだかこれまで自分だけずっと損してきたんじゃないか、とネガティブな方向に考えを拗じらせてしまいそう。でもそうではなくて、若くなくなりつつあってもまだ自分の感覚は死んでなかったんだという希望というか安心感にすがれて、少し息を吹き返せそうな気持ちになれました(これもかなり後ろ向きな捉え方ですが)。

釣り糸を落としても魚が釣れないことはある、くらいのスタンスでありたいです。

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このMVいいよね、だいすきです。