週刊ネコ通信

日記とか備忘録とか。

2020_01_02

いやーーーこれは本当に物凄い記録……カスタムマシンを除けば世界新記録のはず。

F-ZERO GXをプレイした人間なら分かると思うが、このゲームはマシンコントロールが滅茶苦茶シビアで、3Dスティックをミリ単位未満の精度で制御する必要があるのだ(そうしないとマシンが吹っ飛んで即コースアウトとなる)。ほぼ完璧に繰り出される外ドリ、美しい……

しかしエアプだとこの動画の凄さが半分も理解できないだろうと思う。というかどういう秩序でゲームが成り立っているのか前提が分からないんだから理解が出来なくて当然である。最近は実況動画とかプレイ動画とかが本当に沢山投稿されているので、観るだけで遊んで分かったつもりになってしまうが全然そんなことはないんだよな、と感覚が修正された気がする。体験に基づく理解みたいなものがゲームには確実にある。

 

brave1225氏は定期的にF-ZERO GXの動画を上げており、たぶんTASを除けば動画を出してる投稿者の中では一番実直に走りを追求している方なのではないだろうか。「terrible second lap」とあるが何がひどいのかわからない。

F-ZERO GXが発売されたの2003年ですよ…17年前のゲームにここまで情熱を注ぎ続けられる方がいらっしゃるという事実に自分が勇気をもらってしまう。流行り廃りに乗るのも楽しいけど、他人の動向に関係なく狭く深く潜って行く方が余計な焦燥感も覚えずに済むし良いよね、という風潮が広がる時代に2020年代がなるといいよね。むしろネットを経由して何でもかんでも拡散していった2010年代までが異常だったと振り返ることになるかも…私は情報に振り回されるのには疲れてしまった。

牧歌的な近未来としての2000年代インターネットの復権を目指して。

2019_11月

もう2ヶ月も前の事だがとても楽しかった記憶があるので書く。 

 

2019.11.02

渋谷に行く。治安が無い感じであり滅茶苦茶人間がいてびっくりした。御無沙汰してしまっていた方に温かく反応してもらえると本当に来て良かったなの気持ちになりますね(これは私の本当に悪い部分なのだが自分から話かけるというのが本当に苦手なので話しかけて貰えると本当に嬉しい。本当にありがとう)。あっという間に離脱してしまったのでまた今度ゆっくりと…

ZIMAを初めて飲んだのですがとてもよいですね。缶だと美味しくないので瓶で飲む必要がある。

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2019_12_17

1.

 Michel Petruccianiと父・Tony Petruccianiのデュオを聴く(アルバム『Conversation』収録。1992年録音/2001年発売)。結構Michel Petruccianiは好きで聴いていたのだがこの盤の存在は知らず…調べてみるとわりに有名なアルバムのようで「21世紀の"Undercurrent"」と評している人も居て言い得て妙だと思った。スタンダードしか演奏していないのが少し残念だがクセのない大変聴きやすい内容である。

All The Things You Areのテーマの入りの部分からして非常にナチュラルに穏やかにTonyのギターが寄り添ってくる。Michelは音数のかなり多いフレーズを弾くが全く自然に耳に入ってくる。たぶんそれはMichelがクラシックピアノの訓練を十分に受けており、ピアノの鳴らし方を理解していることに起因している。泥臭くて身体感覚に直接語りかけてくる演奏も嫌いではないが、こういう理性的なクラシックの素養・技術を前提として組み上げられたジャズピアノというのは不思議なバランスで成り立っている精巧なガラス細工を想像させる。身体性に酔い音に没入するというよりは、聞き手が演り手の創り上げた音を「鑑賞する」もの。細工の小さな突起まで愛でるように聴き込む楽しさがある。

この当時Michelは30歳で、20歳が寿命だと宣告されていたというから日々言いようのない不安の中でピアノに向かっていたのだと思う。父のTonyは余命幾らも無い息子と一体どのような気持ちで演奏していたのだろうかという邪推をしてしまう。かと言ってお涙頂戴のようなクサい演奏になっていないのが本当に素晴らしい。

 

2.

穴子が安かったので買ってきて穴子丼にしようと思ったが、出来上がってみるともの凄く生臭くて穴子も堅く、想像していた味とかけ離れてしまった。下処理で皮に熱湯を掛けて皮のぬめり(臭みの元)を取るのだが、あんまりぬめりが出てこなかったのでその処理が甘かったのかもしれない。食べられる腐った魚のような臭いがしていた。穴子が気の毒になってしまうほどに。

捨てるわけにもいかないので胃に押し込むようにして飲み込む。回転寿司の煮穴子は安くて柔らかいので大事にしなければいけないと思う。

2019_12_03

1.

一周したミームは一体どこへ行くのだろう、ということを考える。シティポップは都市からの離脱→リゾートへの憧憬→バブル崩壊による死→インターネット概念であるVaporwaveによる復活…のようにどんどん身体性を失っていっていることに一種の文脈があると思っているが、永い旅を経て元の身体性を取り戻した時、シティポップは完全に死ぬのではないか?という疑念である。

所詮シティポップは後付けの概念であり、作り手本人らには大して関係ないというのも本音のところだろうから余計に気になる。所謂シティポップを創ってくれる方々はこれからもずっとシティポップを書いてくれることだろう。でも、あと数年後に一体どのような形になっているのかものすごく興味がある。

というようなことをSUPER VHSの新譜を聴きながら考える。

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tamao ninomiya氏が参加しているということで聴き始めたがかなり良い。全面的に80年代ミュージックの換骨奪胎を大胆に成功させており、下手にアイデンティティを付加しないことによって逆にこの音・この文化が好きなんだという主張が浮かび上がってきている。「新・懐古主義」と言っても良いかも知れない。ここまで思い切って好みを前面に出された音楽を聴くとサカナクションのような作り手の意志が反映されたオマージュは逆に中途半端なのではないか?という疑念すら生まれる。そして「ス」。実は「ス」は一大キーワードなのである。

でも「love supreme」はコルトレーンの精神性に関連した60年代オマージュですよね、自分の中で納得がいかないのでもう少し聴き込む必要があると感じる。

 

 

2.

Roy HargroveのStrasbourg St. Denisを久し振りに聴くかと思ってYouTubeを開いたら元動画が消えており代わりにこの一月前にアップロードされた動画がヒットしたのでびっくりした。記憶が正しければ元動画は2012年の時点でアップロードされていたと思うがこんな名演でも消えてしまうのか…という無情さを感じた。この演奏、ピアノがプリペアド奏法を自然に取り入れているのとコード進行関係なく滅茶苦茶自然にモーダルチェンジしてるのと、ハーグローブのソロで書き譜か?というインタープレイが完璧で聴いててすごく楽しい。8小節1セクションの楽譜で前半がモーダル、後半はコーダルというのは実に上手く出来ていて、ハーグローブもそれを十分に理解していて観客サービスとして派手なフレーズを披露してくれる。トランペットという楽器は音域は狭いのに表現域はどうしてこんなに広いのだろうと不思議に思う。亡くなってしまったことが本当に悔やまれる。

www.youtube.com

 

 

2019_12_02

1.

阿部義晴の『○A』収録の「最後の恐竜」を聴く。CD自体はブックマーケットでちょっと前に格安で買っていたものの平凡なポップスしか入ってないと思っていたので特に気に留めてなかった。が、チップチューンが収録されている旨Twitterで紹介されているのを見かけてウソ?!と思いつつ急いで聴いたら本当だった。

すぎやまこういちをモロに意識したクラシカルなフレーズで構成されたチップチューンで曲は始まるのだが、ハープのグリッサンドを合図に急にオーケストラが鳴り出し突然コンサート会場にワープしたような感覚。まさに、夢だけど、夢じゃなかった…

私も小学生の頃は同じようにゲーム音楽を聴きながら、これがオケアレンジでホールで聴けたらどんなにいいだろう…という想像を幾度となく繰り返していたのですっかり阿部義晴に感情移入してしまった。音楽の聴き方を思い出した。

A

A

 

 

2.

國府田マリ子さんのライブアルバム「Mariko Kouda Concert Tour '95~'96 終わらないアンコール」を聴く。正直ライブアルバムは完全なファンアイテムで、DJ用途にも向かないと思っているのでほとんど買い集めてないのだが、初回特典の8cmディスクに惹かれて購入。そしてライブ版の楽曲を聴くと、これはスタジオ盤とは違うレイヤーの良さがあって良いですね……『彼女がいるのに』『私が天使だったらいいのに』『my best friend』『びんづめのうちゅう』などなど、名曲揃いで、マリ姉歌うめえ〜〜〜ということに改めて気付かされる。フレーズ処理がいちいち丁寧でますます好きになってしまった。何より好きな曲の別バージョンが聴けるのはライブ版とはいえ素直にアガる。

國府田マリ子さんの声をライブ盤で聴くと「あ段」は開けた感じでラウドに響くのに「お段」はかなりくぐもった声質、「い段」「え段」はかなり官能的、といった風に無茶苦茶声に個性があることに今更気付きました…発見できて嬉しい。

これをきっかけに声優ライブアルバム収集に着手してしまうかもしれない…

終わらないアンコール

終わらないアンコール

 

 

一緒にブックオフで格安で買ったマリ姉ラジオのED『きらりひまわり』がすごくすごく良かった…!シンプルな楽器構成ながら踊らせることを第一目標に作られたのか?というほどデカい低音+アコギのカッティング+打ち込みドラムのアキシブ系アップチューン。作詞:國府田マリ子、作編曲:中村修司。数回登場するメロトロンと思われるフレーズに泣く。まだまだ俺の知らない良い曲がある。生きててよかった……

実にしあわせな気分のまま就寝。

MARIKO KOUDA Presents GMCD Special

MARIKO KOUDA Presents GMCD Special

 

 

 

2019_11_16

1.

ホームセンターに行ったらサカナクションの「新宝島」の打ち込み音源が流れていてすごくよかった。2020年はあえて全部インストで流すのが流行るのかもしれない…と思ったけどインストの取り扱いは一昨年あたりに『n/a』とかで流行っていたので単に私の耳が追いついただけのような気もする。

 

2.

坂本龍一は中学生の頃からよく聴いていて、大学入って一旦聴かない時期が出来たのだが揺れ戻しなのか最近良く聞いている。

特にこの2005のジャパンツアーはすごく良い。当時実家のDVDレコーダーに録画されていたので何度か見たが、『/05』のライブ動画が圧倒的過ぎたためこちらはあまり熱心には見ていなかった。しかし今見るとピアノソロの『/04』と『/05』の間の微妙な時期に行われているせいか、ピアノへのこだわりは残しつつもバンドサウンドを尊重した内容で意外と唯一無二。ピアノ演奏も修正していないとしたら本当に上手い(キャリアを通して一番上手い時期かもしれない)。

坂本は『1996』の頃から俺が俺が俺が!みたいな感じでピアノトリオやったりオペラ書いてたりしたが、たぶんこのジャパンツアーでライブ感のある抑制されたアンサンブルに気が向いていったという気がする。2005年、53歳だが転換点である。

2007年にはYMOが再結成されてライブを行うが、個人的には箸にも棒にもならん内容な気がしている。明確に新しいYMOを目指しているのか機材も一新されており、期待しているような音はしていないよね……これももう少し時間が経てば私にも理解できるようになるのだろうか。

このツアーはThousand KnivesもいいしWorld Citizenもいい。自らへの決別感がある。

www.youtube.com