週刊ネコ通信

日記とか備忘録とか。

2021年3月

2021_03_09

映画『ゴンドラ』を観る。Amazon Primeのサジェストから入ったのだが、不意に映像に見惚れてしまい、平日なのに2時間通しで見てしまった。2017年にリバイバル上映されて結構話題になった映画のようですね。家に居場所がない少女と、下北半島出身の青年の物語。

とにかく映像がイイ、という感想が一番にくる。1987年公開のインディーズ作品のため、時代を感じる編集も時折あるがそれすら完全に味である。特に一点透視図法の構図が何やら大変素晴らしく、線路を歩くシーン、ガードレール沿いに歩くシーン、岩場を抜けて海に至るシーンの構図はそれだけで印象に残る。

モチーフで言うと、小鳥を中々埋めることができない、というのはそれ自体「子ども」だと思うのだが、わたしもそれに近い経験があるし、今でもその感覚が少し残っているので、心の弱い所を突かれたような気持ちになった。

公開時のコピーは「あなたには居場所がありますか?」だが、今となってはその問いかけ自体が陳腐化しているが、だからこそ、当時の日本の虚無感というか閉塞感というのか、どろどろした不安も希望も含めてフィルムに閉じ込められているような気がした。(描かれていた東京は、私の頭の中の80年代の東京のイメージと極めて近かった。描かれた東京に一種の普遍性があるのは、たぶん、監督がかなり三人称に近い視点で物語を構築していったからだろう。)

 

gondola-movie.com

キャスト紹介をみると、良を演じた界健太は、87年当時は安部公房の「棒になった男」のボクサー役の一人芝居の稽古に励んでいた、という最高のエピソードが載っており、大変に嬉しくなった。

そしてやはり、主演の上村佳子の達観した顔つきが、監督にわざわざインディーズで映画を撮らせてしまったほどの力を持っていたんだなと思ったわけ。

 

あと、、わたしも両親には今のうちから優しくしておこうと思いました……

 

 

2021_03_28

プロフェッショナル仕事の流儀 庵野秀明特集を見る。

 

庵野作品って実はほとんど見てないのだが、ああいう常軌を逸した本人にはずっと興味があって録画を見てみた。

ドキュメンタリー内容については見てのとおり。思ったのは、BGMがポストクラシカルっぽいところと、インサートで入ってくる映像が何かとてもおもしろく感じて、途中からずっとその2つに集中して番組を見ていた。

ポストクラシカルについては、ずっと昔から興味を惹かれているのだが、なんと言えばいいのか、ポストクラシカルというのはこちら側から呼んでもやってきてくれないもの(呼ぶと嘘臭くなってしまう)なのだということの再認識をしました。

インサート映像については、もちろん冒頭で庵野が「豪雨の一番激しい映像を撮れ」と言ったから意識してしまったのだが、最近わたしもカメラをいじりだしたので、そういう経路から構図とかに目が行ってしまった。