週刊ネコ通信

日記とか備忘録とか。

2019_12_17

1.

 Michel Petruccianiと父・Tony Petruccianiのデュオを聴く(アルバム『Conversation』収録。1992年録音/2001年発売)。結構Michel Petruccianiは好きで聴いていたのだがこの盤の存在は知らず…調べてみるとわりに有名なアルバムのようで「21世紀の"Undercurrent"」と評している人も居て言い得て妙だと思った。スタンダードしか演奏していないのが少し残念だがクセのない大変聴きやすい内容である。

All The Things You Areのテーマの入りの部分からして非常にナチュラルに穏やかにTonyのギターが寄り添ってくる。Michelは音数のかなり多いフレーズを弾くが全く自然に耳に入ってくる。たぶんそれはMichelがクラシックピアノの訓練を十分に受けており、ピアノの鳴らし方を理解していることに起因している。泥臭くて身体感覚に直接語りかけてくる演奏も嫌いではないが、こういう理性的なクラシックの素養・技術を前提として組み上げられたジャズピアノというのは不思議なバランスで成り立っている精巧なガラス細工を想像させる。身体性に酔い音に没入するというよりは、聞き手が演り手の創り上げた音を「鑑賞する」もの。細工の小さな突起まで愛でるように聴き込む楽しさがある。

この当時Michelは30歳で、20歳が寿命だと宣告されていたというから日々言いようのない不安の中でピアノに向かっていたのだと思う。父のTonyは余命幾らも無い息子と一体どのような気持ちで演奏していたのだろうかという邪推をしてしまう。かと言ってお涙頂戴のようなクサい演奏になっていないのが本当に素晴らしい。

 

2.

穴子が安かったので買ってきて穴子丼にしようと思ったが、出来上がってみるともの凄く生臭くて穴子も堅く、想像していた味とかけ離れてしまった。下処理で皮に熱湯を掛けて皮のぬめり(臭みの元)を取るのだが、あんまりぬめりが出てこなかったのでその処理が甘かったのかもしれない。食べられる腐った魚のような臭いがしていた。穴子が気の毒になってしまうほどに。

捨てるわけにもいかないので胃に押し込むようにして飲み込む。回転寿司の煮穴子は安くて柔らかいので大事にしなければいけないと思う。