週刊ネコ通信

日記とか備忘録とか。

2017-03-24

 忙しかったり、文脈を文字で表現出来なかったりしています。

 

美は人を沈黙させるとはよく言われる事だが、このことを徹底して考えている人は 、意外に少いものである。優れた芸術作品は、必ず言うに言われぬ或るものを表現していて、これに対しては学問上の言語も、実生活上の言葉も為す処を知らず、僕等は止むなく口を噤むのであるが、一方、この沈黙は空虚ではなく感動に充ちているから、何かを語ろうとする衝動を抑え難く、而も、口を開けば嘘になるという意識を眠らせてはならぬ。そういう沈黙を創り出すには大手腕を要し、そういう沈黙に堪えるには作品に対する痛切な愛情を必要とする。日というものは、現実にある一つの抗し難い力であって、妙な言い方をする様だが、普通一般に考えられているよりも実は遥かに美しくもなく愉快でもないものである。(小林秀雄「モオツァルト・無常という事」新潮文庫、pp.19-20)

 音楽という構造物に対しての記述ですが、これってそのまま『良い』という概念そのものでは、というアナロジーがあります。